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Last up date ６/９/0６ |
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アメリカの歌手は、皆、歌がうまい。大きな声量で感情込めたパフォーマンスで、聞かせる歌を歌う。言語の違いもあるのだろうか？声の出し方が違うのではないか？など、なぜ、彼らは歌がうまいのか、不思議に思うが理由は未だわからない。しかし、彼らの歌を聴くと、ついつい、日本のアイドルの歌唱力と比較してしまう。 日本では、歌が下手なのが売りになるくらい、歌唱力のない歌手も多い。特に、いわゆるアイドルと言われる人たちは、総じて歌が下手だ。つまり日本ではアイドルに歌唱力は求められていないのだ。 しかし、米国では違う。歌唱力は不可欠なものだ。 うまさの理由の一つに、普段から歌を歌う機会が多いことがあるのではないか？というのが普段からの私の仮説。素人でもかなり歌のうまい人が多いからだ。歌手でもない俳優が、いきなりミュージカル映画に出てその歌声を披露することも少なくない。 米国人は、国家斉唱に始まり、教会での歌、お酒を飲むと歌う歌など機会が多いのではないだろうか。しかし、日本だって歌を歌う機会は同じようにあるし、カラオケも盛んだ。あまり納得のいく説明ができない。 その理由の一つにぶち当たった。 Foxで放送中の番組"American Idol（アメリカン・アイドル）"。３人の審査員の辛口コメントで人気のオーディション番組だが、アメリカのアイドルにふさわしい人を視聴者の投票で選んでいく。その選考基準は、ずばり歌唱力。今までにこの番組から何人ものアイドルが誕生した。 優勝すればレコードデビューが約束されているが、このところ優勝者より準優勝以下の候補者が人気物になるケースが相次いでいるのが、この番組のおもしろいところ。2001年から始まったこのシリーズは今年で５回目を数える。先日、全米で行われた予選オーディションの様子の放送が始まり、初めて番組を見てみた。 さすがに５回も続くだけあって、予選はかなりおもしろい！ なにがおもしろいかというと、必死で歌う参加者の様子だ。彼らはだれもが自分の歌がうまい！と思っているのだ。しかし、どうみても下手な人が多い。気合い、声量、感情は十分なのだが、むちゃくちゃ下手。歌は伴奏なしで歌うのだが、題名が分からないほどの下手さ。落ちても当然と思える人でも、NOと言われると極端に落ち込む。自分はYesという言葉がもらえると信じて疑わない。 この様子を見て気づいたのは、彼らの音程が不確かなこと。大きな声で自信ありげに歌うのだが、音程があやふやなために何の曲か分からないほど乱れてしまう。もしかしたら、音楽教育が違うではないか？と疑問がわき起こった。 そういえば、米国と日本の両方の音大でピアノを学ぶ友人に聞いたことがある。米国で教育を受けたピアニストは楽譜に忠実には弾かない。弾けないらしいのだ。日本だったら、こんな学生は音大にも入れないという人が多くいる、というのだ。しかし、彼らは彼らなりの表現力を持って聞く人を魅了する。 一方、日本で教育を受けると、楽譜を忠実に再現する技術力を重視される。そのため、誰が弾いても同じような弾き方しか出来ないというのだ。最終的にピアニストと評価されるのは、技術ではなく表現力。 つまり、米国で教育を受けた人達の評価が高いと言う。 確かに、日本のアイドルは音程はそこまで悪くないが、心に訴える歌唱力に欠ける。米国に比べると優等生の歌い方だから、誰が歌ってもあまり変わらない歌声になってしまうのではないだろうか。 それに引き替え、思いのたけをぶつけ大声で歌を歌う"アメリカン・アイドル"を目指す米国の若者たちの、なんと音程のはずれた歌の下手なこと！！米国で音楽の授業をとったことがないので、不確かだが、米国では音程にはこだわらず、大声で叫び歌を歌う子供達を大げさに褒めているのではないだろうか。 さてさて、毎週火曜日の夜。楽しみにする番組がまた一つ増えた。 （この記事は「生活と環境」未掲載） 2006.01
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